電流帰還アンプ (6) 出力段バイポーラTr版(第2回)

正直に言って、このアンプは過去に作ったどのパワーアンプよりも音が良い。MOS-FET出力の時から良いアンプだと思っていたが、今回はそれをはるかに超える音だ。電流帰還アンプがそもそも良いのだろう。電源オン、オフ時のショックノイズは皆無。
一言でいえば、長岡鉄男さんに聴かせたいアンプである。

使用部品をメモっておく。
使用したトランジスタはオーディオ全盛期の定番を使った。小信号用Trは2SA992E/2SC1845E (hfe:550)、Q11とQ12は富士通2SA899V (hfe:200)2SC1904BL (hfe:180)である。ドライバーの2SA985Aと2SC2275AはNECの銘石で、NECA-10シリーズやSONYのTA-F333シリーズやF555シリーズといった往時の音が良いと言われたアンプに使われている。出力段の2SA1386Aと2SC3519AはサンケンのLAPTエピタキシャルプレーナ製法の石で、ftがきわめて高くcobも比較的小さい。有名な別府アンプでの指定トランジスタでもある。
抵抗は、在庫のものですませた。茶色い抵抗は1/2Wタンタル抵抗、小さい抵抗は1/4W利久抵抗。NFB抵抗のアースとつながっている抵抗はNS-2Bがあったのでこれを使った。白いエミッタ抵抗は0.22Ω/5WのMPC74。
コンデンサ類は入力の大きなコンデンサはアルミ箔とポリプロピレンを捲いたEROのKP1832。3個見える茶色のフィルムコンデンサは松下のPPS。2個の電解コンデンサ330uF/50Vはニッケミの汎用品。2個の100pFは米国製の500Vの黒いマイカ。中心部の赤いものはWIMAのMKS4.7uFで小型で大容量のフィルムコンはこれくらいしかない。
なお、ドライバーTrは常時10mA以上流れて熱くなるため小型の放熱器を付けている。

藤原さんの電流帰還アンプを使っている人にも眠らせている人にも、出力バイポーラ化は強くお勧めできる。ただしバイアス回路の変更と、ドライバーTrをPc15W級(放熱器設置時)へ変更、ドライバーのエミッタ同士をつなげている抵抗(R21)をマニュアルの680Ωから150Ω程度に変更する必要がある、なぜその必要があるかわからない人は触らない方が良い。