Counterpoint SA-3 & SA-3.1 (4)

COUNTERPOINT SA-3 と SA-3.1は6DJ8を3本使う。

その昔 真空管を出力部に使ったCDプレイヤーNT-4000とかじんそんさんのDACを使ってた時期があって、それが契機で6DJ8ファミリーの真空管は手元にたくさんある。
6DJ8ファミリーは、大きく分けると基本の6DJ8/ECC88、それのSQ(Special Quality)管の6922/E88CC、7308/E188CCの3グループである。これらはほぼ完全な互換性があると思ってよい。
これら以外では、ヒーター規格が6DJ8/ECC88の6.3Vに対して7.6Vと異なるが、それ以外の規格は全く同じの7DJ8/PCC88も多くの場合使用可能。E288CCはヒーター電流が5割増しで増幅率μが6DJ8の33に対して27と少ないが電流容量に配慮すれば使えることもある。E288CCの音質はとても評判が良い。Counterpointが6DJ8相当として使っていた6N23Pは東側の6DJ8であり作りが良いロシア製の軍用の真空管である。10年ほど前までは2-3ドルで買えた。現在、ほどほどの価格で入手可能であるNOS球の6DJ8は、前述の6N23PとPhilips-ECGの6922である。この6922は島根のバンテックエレクトロニクスで今も買える。なお同社の買い物カートは故障しているので直接メールを出せばよい。

在庫を製造者(工場)基準で整理すると下記の通り。比較試聴でしばらく楽しめそうである。

6DJ8/ECC88 μ=33
 6DJ8(東芝) 17
 6DJ8(松下) 6
 ECC88(SIEMENS)3
 6DJ8(PHILIPS Heerlen) 20

6922/E88CC μ=33
 6922(AMPEREX USA) 4
 6922(Philips-ECG USA) 12
 E88CC(PHILIPS Heerlen) 6
 E88CC(Mullard, Mitcham) 3
 E88CC(SIEMENS) 11
 E88CC(Tungsram) 4
 E88CC(TESLA) 2

7308/E188CC μ=33
 7308(AMPEREX USA) 7
 7308(Philips-ECG USA) 1
 7308/E188CC(松下) 22
 E188CC(PHILIPS Heerlen) 11
 E188CC(PHILIPS Suresnes) 1
 E188CC(SIEMENS) 4 (Code "G68B" Single stage getter Late version from mid 70s)

E288CC μ=25
 E288CC(SIEMENS) 12 (SIEMENS / Code "N60I" labeled as DARIO / 1960s)
 E288CC(SIEMENS 2 (SIEMENS / Code "N68E" Single stage getter Late version from mid 70s)

7DJ8/PCC88 μ=33
 7DJ8(松下) 6
 PCC88(TELEFUNKEN) 10 (◇Diamond Bottom FALCON LOGO)
 PCC88(PHILIPS Heerlen) 5 (labeled as Pope / Code DJEΔ74F)

6N23P μ=34
 6N23P (VOSKHOD) 30

Counterpoint SA-3 & SA-3.1 (3)

次はSA-3の修理

SA-3は高圧レギュレーターが破損していた。ヒーター回路は無事である。
破損の原因は制御トランジスタのベース電圧を決めるツェナーダイオードの破壊である。3本直列(100V+100V+47V)のダイオードの1本が見事に壊れていて、制御TRを道連れにしたようだ。
取り外した破損パーツ

折角なので電源部のパーツは全て撤去

電源部のパーツを一新。高圧部の整流ダイオードは近年金田式でよく使われているシリコンカーバイドにした。TO-3型の制御TRは昔のブラウン管テレビの水平同期用に使われている耐圧1000V級でIcが7A前後のものが適当である。ツェナーダイオードは損失が均等に分散されるように82V/5Wのものを3本シリーズとした。またヒーター用のレギュレーターはLM317を容量の大きなLM350タイプに変更してある。

上から見る

RCAジャックも相当痛んでいたのでSA-3.1同様に総取替
真空管はPHILIPS Heerlen Factory製のECC88を刺して完成である。

2台重ねてみる

Counterpoint SA-3 & SA-3.1 (2)

Counterpoint SA-3 & SA-3.1 どちらも故障品であるので、どこが壊れているのかざっと診てみる。両方ともメインボードのコンデンサは電源部もアンプ部も容量抜けはなく正常のようだ。

SA-3
電源を入れてみると真空管のヒーターを灯す低圧レギュレーターは問題ない。高圧レギュレーターは制御トランジスタ前までは生きていて約450Vが来ているが制御トランジスタ後は電圧ゼロである。高圧レギュレーターが壊れている模様。

SA-3.1
こちらはリアのRCAジャックが激しく壊れていて総取り換えを要する。直そうとした形跡はあるがおかしな配線があったり、リアパネルのPCBを元通りに戻せなかったようだったり??である。リアパネルPCBに同居しているリレー回路もダメみたいですな(笑) 電源を入れようとするとフロントパネルの電源スイッチが壊れていて常に通電(ON)状態。一方でレギュレータについては低圧部、高圧部とも問題はない。

というような状況で、SA-3.1を先に修理することにした。
最初はリアパネルである。RCAジャックはPCBにハンダ付けされているので、ハンダ吸取線とコテを駆使してRCAジャックを外す。

新しいRCAジャックを付けてハンダすれば終わりだが、元々のRCAジャックの取付穴は6mmΦだが最近のものは8mmΦなのでステップドリルで各穴を8mmに広げた。またリアパネルのリレー回路は当面使わないことにして修正していない。

次に右サイドパネルに取り付けられているヒーター回路のレギュレーターLM317TをフルモールドのNJM317Fに交換する。

そして次の画像で示すパーツを取り換える。高圧部のダイオードは1N4007を手元にあったUF4007へ交換、フロントパネルの電源ON-OFFのトグルスイッチは手元にVM型がなかったので通常の250V/3A品にとりあえず交換、そのほか電解コンデンサ4個を交換した。

パーツ交換後、電源を投入し各部の電圧を点検。リレー回路を殺してあるので、前面のLEDは赤のままだが1分くらいすれば出力部のDC電圧も0に近づく、一応念のためVOLUME付である真空管アンプTU-8200につないで音を出してみた。


万が一があるので、付いてきていたMullardのE88CCは使わず、手元に沢山あるPHILIPS Heerlen工場製の6DJ8を刺してある。音源はNT-503からのハイレゾ音源。うーむ、熱狂的なファンが多いのもわかる。音は厚みがあって生き生きとしている。これはとても良いですね。
次に使わないフォノアンプ用の左右の球を抜き、中央のラインアンプ用の球をE288CCに替えてみた。
おおっ!更に厚みがあって滑らかな音になる。病みつきになる音ですな。

<続く>

Counterpoint SA-3 & SA-3.1 (1)

中古で入手したCounterpoint SA-3 & SA-3.1を復活させようと思う。
先ずはSA-3とSA-3.1を並べてみる。


基本回路は同じ。SA-3.1 はリアパネルにリレーが組み込まれている。

 
アンプ回路は同じ。左右がフォノアンプ、中央がラインアンプ。RIAA回路のコンデンサの形状が、SA-3は黒い直方体、SA-3.1は円筒形という違いがあるが容量は同じ。
SA-3はREL-CAPの黄色のコンデンサを使用、SA-3.1は同じREL-CAPの白いWONDER-CAPを使用している。
SA-3のプレート抵抗はフォノアンプ1段目(47K)、フォノアンプ2段目(27K)、ラインアンプ(22K)ともに同じ2Wの酸金だが、SA-3.1はフォノアンプ1段目(47K)だけ違うシリーズになっている。


LED点灯用回路はSA-3ではメインボード上に設置されているが、SA-3.1は機能の一部がリアパネルのリレー回路ボードに移されているので、その部分がメインボードでは省略されている。


電源の電解コンデンサは80uF/450Vの右2本がSA-3はオレンジ色、SA-3.1では5本の100uF/250Vのコンデンサと同じくブルー。
またSA3.1ではヒートシンクのボードの反対側に抵抗とダイオード2本が付け加えられている。SA-3、SA-3.1の高圧側レギュレーターはまったくもってイケてない回路なので、おそらくはラッシュカレントで制御トランジスタが飛ぶことを避けるための抵抗か。


SA-3にはフォノアンプのプレートとグリッド間にマイカコンデンサ5pFが取り付けられてあるが、SA-3.1では付けられていない。

  

SA-3に刺さっていた真空管6DJ8には管壁に"Selected by Counterpoint"と印刷されているが、これはどうみてもロシアのVOSKHOD工場製の6N23P。6N23Pは優れた6DJ8互換品であるから問題はない。ぼくも30本ストックしている。

  

SA-3.1に付いていたのはMullardのE88CCだった。philips factory codeで確認するとエッチングコードの上段7LはE88CCのコード、製造工場を表す2段目の先頭文字RはMullard Radio valve Co., Mitchamということで、すごく得した気分である。

 

<続く>

 

CASTRON MP-01a

北海道の臼井鋳鉄工業(ウスイクリエイト)製スピーカー、CASTRON MP-01a を購入。受注生産品で注文から2か月ほど経った7月初旬に届いた。

このスピーカーの特徴は何といってもダクタイル鋳鉄一体成型のエンクロージャーである。音離れが素晴らしく音が速い。且つ又小型スピーカーのくせにびっくりするほど雄大な低音が出る。注文時、臼井氏にEXCLUSIVE 2402を使っていることも伝えた。「Exclusive2402 と比べるべくもありませんが 、遊びでパワーを入れて鳴らしてみてください。小さいくせに意外と頑張りますので」と控えめな返信があったが、どうしてどうして、頑張り過ぎである(笑)
超低域はわずかにEXCLUSIVE 2402に及ばないとしても、MP-01aはバッフルの面積が極めて小さいため、大型モニターと比較して余計なバッフル放射がなく点音源に近い。これはとても大きな利点だ。

 
使用しているユニットはメーカーに数種類のサンプルを作らせてその中から選択しているそうである。ネットワークの部品もとても上質なものを選んでいるようで2WAYの繋がりが滑らかである。

素晴らしいスピーカと出会えた。

<ヒアリング使用機材>
DAC/Network Player : TEAC NT-503 (2TB HDD USB接続)with Cybershaft UPOCXO-05-S
< Cable : Western Electric 20AWG Black Enamel 単線 >
Pre Amp : SV-PRE1616D (12R-HH14 x 2、東芝5814A x 1、STC CV717)
< Cable : BELDEN 88760 >
Power Amp : FirstWatt F6
< Cable : CANARE 4S6 >
Loudspeaker : CASTRON MP-01a

試聴できる場所も少ないようなので音の雰囲気、そしてCASTRONスピーカーの詳細は下記のyoutube等で

CASTRON MP-01aのフロントパネルを製作中