TDA1541 Epilogue (10) 神の石とディスクリOPアンプ

24日のblogで書いた「激変要素」を持ったTrを紹介しよう。
使用場所はデジタル回路の+5VLED電源の定電流回路に使う。LUCYさんの見つけた2SC1013とセットとなる。
この石の名は2SA612である。JRC製のトランジスタで小型メタルキャン。

上の画像の一番右が2SA612である。2SC1013が神の石であれば、これは大神の石。レンジは上下に更に伸び、空間は更に広く再現され、解像度は驚くべきものになる。弱音と強音のコントラストは更に明瞭となり演奏者の心がより強く伝わってくる(うーんこのあたりの表現はKINTA先生の影響があるかも(笑))
上の画像にある他のトランジスタもとても良い石だがこの箇所に使う限りにおいて比べ物にならない。
このTrによく似た規格の石は他にもあるので探して欲しい。この2SA612も偶然目に留まり、買って使ってみたら良かったということだ。



次にディスクリOPアンプの実験途中の状況。
このボードは以前のMultipurpose Boardを簡略化して8PIN仕様にしたものである。あのときの基板はLPレコード用のEQ回路も作れるようにお願いしたが、今回は単純なフラットアンプとしてアートワークが素晴しく小型化されている。

ご覧のように現時点で4種の基板を製作している。

上の画像は抵抗がDALEのRN55C、出力Trが2SC960の旧タイプ。定電流Trは差替可能で画像では2SC97Aを使っている。2SC960は中域の厚いもので全体のバランスも良い。ただし分解能が2SC97Aに若干劣るように感じた。2SC1400を定電流Trに使った場合は更にその感が強い。
とはいっても、OPA627に比べれば圧倒的に良い。

抵抗はプレート抵抗、出力Trは2SC984である。優しい音(C960/C97A比)である。僕はJAZZを中心に聴くのでC960/C97Aを取るがクラシック好きはこれを一番にするかもしれない。ただし、出力Trも定電流Trも全てをC984とするのはお勧めしかねる。

抵抗はDALEのRS-1A巻線抵抗、出力Trは2SC97A、定電流Trも2SC97A。とてもクールで正確な音。もっとぼんやり聴きたい場合は定電流に2SC1400を使うと良いかも。

抵抗はプレート抵抗、出力Trは2SC97A。2段目のFETを差替え式にしてある。当初は固定で2SJ103BLを使用していた。つまり一つ前と抵抗以外は同じなので、巻線抵抗とプレート抵抗の違いがわかる。プレート抵抗は巻線に比べて付帯音がある。この付帯音は豊かに聞こえる効果があるから悪いとは言えない。
この基板は現在2段目のFETを2SJ103から2N5461に替えてある。2N5461の足の配置は2SJ103と異なるので足をクロスする必要がある。2N5461は入力容量が2SJ103の18pFに比べ5pF、帰還容量が同3.6pFに比べて1pFと極端に小さく、順方向伝達アドミタンスはほぼ同じ。一度使ってみたかったのだが耐圧が40Vと低く、このディスクリOPアンプは+−15V電源なので投入してみたが切れ味は鋭い。ディスクリOPアンプの定電流Trとしての2SC97A、本体基板のデジタル用5V電源における2SA612のように一度使うと止められないなあと感じている。

今後の予定:巻線抵抗版の2段目を2N5461にしてみる。出力Trを別銘柄に変更してみる。回路自体をK式オールFETアンプ回路に近いものにしてみる。
自作はやめられまへんなあ。面白すぎる(^-^)



ディスクリOPアンプの定電流回路のトランジスタだが、

上の画像の3種、左から2SC1478U、2SC1400、2SC943それ以外に2SC984、2SC97A(両種とも出力にも使用)を試している。
2SC1400は定電流回路でも評価の高いTr。情報量多くバランスが良い。2SC943はそれに低域の力強さが加わる。2SC1478はずっと解像度があがり高域が随分と延びるがややうるさいかもしれない。2SC97Aは2SC1478の良いところはそのままに、うるさいと感じられる部分がない。2SC984は出力に使ったときと同様に上品である。