32パラの功罪(再)

32パラ騒動についての感想は昨日書いた。これに関していろいろな理解があるようなので改めて書いておく。
はむさんの書いたコメントを読んで買占転売屋について語っていると理解している人がいるようだ。はむさんはそのような意図だったのかも知れないが、私はそうではない。
とても単純な話で、32個あれば2個使っても16人の人がFN1242DACの音を楽しむチャンスがあったのに、32個32個と騒ぐせいで石が消えて16人どころかそれ以上の人が楽しむチャンスを失うかもしれないことが残念だと言っている。
現在の新潟精密は社名は同じだが、法的には以前の新潟精密とは別会社だ。(旧)新潟精密新潟県の三和工場部門と東京本部の二本立ての組織だった。三和工場部門は順調だったが、半導体部門の東京本部の業績が悪く、162億円の負債を背負って会社再生手続きを取るに至ったそうだ。企業再生を得意とするファンドによって生まれ変わった(新)新潟精密は業績の良かった三和工場部門から成り、不採算の東京本部は売却されて負債の返済に充てるという再生スキームらしい。ということでFN1242などは元から新潟精密の本業(三和工場)ではなく、また今後大量に消費してくれるセットメーカーも無いだろうから、再生産する可能性は全くないとまでは言わないが極めて低いと思われる。そういう点で秋月の在庫は貴重なものだった。
Fさんも

  • これほど途中でとん挫しそうな企画はないだろうな〜と思いつつもページを立ち上げてしまいました。というのも、FN1242はフルーエンシー型ディジタルフィルターを搭載したユニークなDACで、DAC1242に使用しましたが、かなり入手性に疑問符がつきます。まず、製造元の新潟精密民事再生法の適用を申請している(受理されたのかな?)し、そこの通販であるNSダイレクトも現時点では閉じてしまっています。あとは、秋月電子という入手ルートが最後の手ですが、これもどの程度の在庫をもっているかかなり不安な要素。それにWEB通販では、まとめて32個も買えない事態が続いています。基板の設計途中で、とん挫しそうな感じが満点です。

と書いている。

FさんのDACは毎回相当数の需要があるので、Fさんが上のように書いたとしても研究ページを立ち上げると、基板完成を予測して先に石を押える人が出たとしても不思議ではない。32パラ×50人くらいはあったかもしれない。石を押えに走った人を責めてはいない。昔、石油ショックの頃のトイレットペーパーと同じで人間の普通の行動である。
32パラの人はFさんの板で、

  • 1石や2〜4パラには使う気が起こりません。、こうなったら手に入れてあるSDRAM-DAIと石とを一持的にヒロ様に託して、試作品として作って頂いて、実験が終了したら買い取らせて頂く

と本人自らが書いてるように32パラに大層執着している。やりすぎだと思うがこういう人もいるのだろう。思う通りにならないたびに「悲しい」と呟くようだがこういう人もいるのだろう。別に責めはしないが、結果、市場から石が消えることが想像できなかったのだろうか?
最初にそして昨日も書いたが、他に代替のないユニークなICであるFN1242は、その置かれた状況から、せいぜい数個で楽しむ石だったように思うが、32パラ騒動で市場から消え、多くの人がFN1242の音を楽しむチャンスを失うかもしれないことが残念だというのが私の感想である。先日のうちの山荘オフミでFN1242がなかなか良かったので一層そう思う。
違った思いがあってもそれはそれで構わない。しかし私の思いは今書いたとおりである。
消費され尽くせない程の大量の不要在庫を秋月が探してくれば良いのだが。

最後にFN1242Aの32パラの「壮観な眺め」をご披露しよう。

もちろんこれは合成である(笑)