LH0032 (4) どうでも良い薀蓄

オーディオ仲間から、下の画像のLH0032はフォントが変わってるが本物なのかなあ?と聞かれた。裏が金メッキのロット表記(datecode)が"819"の古いロットである。同じ時期のものと考えられるkontonさんの使っているLH0032ともフォントが違うし、良く目にするものとも違うが、これだけでは判らないと答えた。
もしこれのロット表記が"9819"だったりすると、中身はともかくdatecodeは新しく見せるために改ざんしてるんじゃないかと考えてしまう。
ロット番号の改ざんは1995年以前には行われやすい状況にあったと考えられる。というのも、製品が製造されてから時間が経過すると未使用状態でも劣化するとの考え方が、昔はあったからだ。
例を挙げると1995年以前には、米国の軍用規格MIL-PRF38535で、記載された日付コードより3年以上を経過したものはリ・テストが要求されていた。
1995年になってこのコードによる制限は撤廃されているし、逆に現在の軍用規格では日付コードによる制約が禁止されているのだが、それまでは、古い在庫を捌くために新鮮に見せることが往々にしてあったのかもしれない。



関連してLH0032のバージョンとロット表記の意味についてまとめてみた。
LH0032CGとLH0032Gの違いについて、前にも書いたようにdatasheetには、全数検査(G)、抜き取り検査(CG)などの違いが表記されているが、外形表記からだと、以下のように温度規格だけしかわからない。



次にロット表記からは製造工場や製造年月、スペシャルバージョンなどが判る。
LH0032のロット表記の最初の文字は"S","B","H"などである。手元のものやweb上の画像だと、S8317/B8842/B8936A+/B9142/H9512/H9612/H9742/H0248 などがあって、初期はシンガポール、中期はタイ、後期はフィリピンで製造されていたようだ。
金田石に関してこのような話は奥が深くて(笑)、NIFTY時代から金田アンプで有名な"なおさん(naonaoland)"のblogには、まるで推理小説のような話が一杯あるのだった。