金田式バッテリードライブ多機能DCプリアンプ(5)

金田先生はMJ10月号に「いかに優れたアンプでも、使用パーツが入手しにくいのでは限られた人しか作れない。そこで本機は入手可能なパーツだけで構成した」と書かれている。2SA970/2SC2240はそのような前提で用いられたことがわかるが、ちょっと調べたところ、TO-92型の小信号Trは、東芝製を除いて本当に絶滅してしまったようだ。kontonさんによれば「東芝は最後の砦」とのことだが、全くその通りである。
しかし東芝製があるからと安心していてはいけない。東芝サイトでデータシートを見ると、2SA970/2SC2240はもとより、あのどこにでもある2SA1015/2SC1815さえ"Not Recommended for New Design"なのだ。"Not Recommended for New Design"は遠からず"EOL(End of Life)"になることは歴史が証明している。数年後には見慣れた3本脚の小信号Trは国産ブランドが全て消えてしまうのだろう。
ところで、10月号の記事も逆に考えると「入手可能なパーツ」にこだわらなければ、他の選択があったのかも・・・、と、妄想は広がる。以下に示すTrは絶滅した過去の定番品。各メーカーが競って開発した黄金の時代の果実である。
まずは三菱製。有名な2SA726、2SA847A/2SC1708A、2SA999/2SC2320、そのピン配列違いの2SA1100/2SC2575。

NEC製。2SC1400とその前身の2SC1222/2SA640、2SC1400の後継シリーズ品である2SC1845/2SA992、2SC1844

日立製 2SA1191/2SC2856、2SA872A/2SC1775A

三菱、NEC、日立、東芝を並べる。
この順番で樹脂部分が小さくなる。三菱と東芝では三菱はかなり大きい。三菱製の音が良いといわている所以かもしれない。また、三菱製は足が丸棒。他の会社は板状である。