無帰還パワーアンプの製作

無帰還パワーアンプが完成。といってもPA-A2Nではない。

肥後さんのDJ HIGO オフィシャルブログにある無帰還A級25Wパワーアンプである。
25W出力時の全高調波歪+ノイズ(THD+N)が無帰還アンプにも関わらず僅か0.2%、出力1W程度なら0.01%ちょいと抜群の低歪み。NFBで化粧していないすっぴん美人だ。

基板は非常にコンパクトで、フォトカプラーとMOSFETを使った保護回路も載っている。

マニュアル(先ほどの肥後さんのページの最下部にLINKが貼ってある)では
初段2SA970/2SC2240 二段目三段目2SA1020/2SC2655 ドライバー2SA1668/2SC4382 出力2SA1386A/2SC3519Aを使っているが
初段2SA992/2SC1845 二段目三段目2SA1209/2SC2911 ドライバー2SA1930/2SC5171 出力2SA1386A/2SC3519A と出力Tr以外は変更してある。
これらのTrは厳密なペア取りをしてある。
熱暴走を防ぐためのダイオード接続のTrは各ch2個使用されているが、出力Trと共締めするためTO-126タイプの2SC3423とした。

それでもって肝心の音だがとても良い。NFBの掛かってないCOUNTERPOINTのSA3.1プリアンプでも音が伸びやかで明るい印象があったが同様だ。低域高域ともに問題ない。力強い音。前後特に奥行きが出る。NFB無しだと低域がボヨンボヨンかも?と少々考えていたが杞憂だった。
A級なのでアイドル電流は1A流している。20mAとか50mAだと歪が多いのは当たり前だが1A流すと上記のように0.01%(1W)、0.1%(25W)と超低歪。ちなみに大型ヒートシンクがかなり熱くなるが1.8Aまで流して1時間ほど聴いてみた。絶品だった。
超おすすめ!

PA-A2N 無帰還アンプの製作(1)

PA-A2N 無帰還アンプの製作に取り掛かるが多忙で遅々として進まず。
とりあえず半導体を選別して基板に載せた。

小信号用TR:2SA992E/2SC1845E (Hfe 540)
初段電流設定用TR:2SK117Y (IDSS 2.0mA)
プリドライバーTR:2SA1209S/2SC2912S (Hfe 240)
ドライバーTR:2SA1930/2SC5171 (Hfe 170)
基準電圧発生用LED:SLR-56DC3F (Vf 実測1.8V@5mA/1.75V@1.3mA)
抵抗値は画像の通りでマニュアルとは違う。
3本の抵抗はヒートシンクと干渉するため裏面に取り付けた。
半固定抵抗は手持ちのもので賄ったので銘柄バラバラ。初段電流設定用には25回転型を使っているが普通の1回転型で十分である。

PA3886PパワーアンプとPA-A2Nパワーアンプ

ヒロさんのお気楽オーディオから一気に3種のパワーアンプ基板PA-A2,PA-A2N,PA3886Pが頒布された。このうちLM3886パワーICを3パラBTLモードで使えるPA3886P基板と無帰還パワーアンプのPA-A2N基板を購入した。



PA3886Pは一枚の基板に6個のLM3886を載せる。LM3886は近年値上がりして@1000円程度という話があったが@500円で在庫してる店があった。

LM3886を使ったアンプはkhimairaさんのémeraudeを2006年に作った。émeraudeはPA3886P同様OPアンプ+LM3886の構成で、山荘においてあるので最近は聴いていないが電源部と一体化した基板の大変音の良いアンプである。

PA3886Pはパラにして出力合成するので各ICが揃ってなければいけない。マニュアルではゲインを決める1kΩ抵抗と20kΩ抵抗には精度0.1%品推奨とあるが入手も難しく、高価でもあるので手持ちの利久抵抗各々約80本を測定した。1kΩは995Ωから1001Ωに分布しており20kΩは19.83kΩから20kΩに分布。12本とれた998Ωと19.91kΩを使うことにする。
また今回ヒロさんはスイッチング電源の利用についても記事を書かれている。精力的に様々な回路のアンプを研究されているΛコンさんもこのところスイッチング電源を積極的に採用されており、以前Λコンさんにスイッチングノイズに関してお尋ねしたところ、問題はないとのことであった。ということで時流に乗り遅れるなというわけでもないが、Λコンさんが使用されて実績のあるTDKラムダ社製のRWS150B(DC24V6.5A 出力150Wタイプ )を買ってみた。

なおLM3886とスイッチング電源を組み合わせた作例として「スイッチング電源によるLM3886パワーアンプ」がある。

PA-A2Nは先にも書いたように無帰還アンプで無帰還アンプといえばSOULNOTEだ。SOULNOTEの設計者である加藤さんのfacebookの回路記事はたいへん面白くためになる。回路と素子で音は決まると良く言われるが、加藤さんは回路は無帰還、素子(半導体)はCobの小さいものと決めているようだ。
SOULNOTEの定番はTO-92型小信号Trは三洋2SA1016/2SC2362、TO-126型プリドライバーは三洋のビデオ用、TO-220型ドライバーTrは東芝の2SA1930/2SC5171、TO-3P型出力パワーTrはサンケンの2SA1186/2SC2837。
全て廃番になっているが2SA1016/2SC2362は私が常用しているNECの2SA992/2SC1845(KSC992/KSC1845)とほぼ同規格。2SA1930/2SC5171は抜群のリニアリティーでいまでも普通に入手可能。3-4年前に@60円くらいで100ペア買った。常用の2SA985/2SC2275と並んで音の良い石だが切れ込みが凄すぎるかも知れない。サンケンのパワトラはftが高くCobが小さく他社を寄せ付けない性能だがオーディオ不況で秋月に安く大量に放出されている。2SA1186/2SC2837は売り切れたようだが2SA1386A/2SC3519Aは@150とお財布に優しすぎる価格で売られている。





LM3886は構造上6個のICを厳密に放熱器に取り付けなければならない。PA-A2Nは出力段のパワーTrがパラである。つまりはどちらもヒートシンクの穴開け(タップ切り)が結構面倒である。ということでタップ切り工具を新調したがとても具合が良い。画像手前のポンチは随分と昔に買ったものだが最強。

これ以上アンプを増やせないので、最近少々手を入れて絶好調のバイポーラ版お気軽でないPAのシャーシをしばし貸してもらうことに。ヒートシンクがギリギリな感じだがパワトラ4個と基板固定用、CHあたりあわせて8個のネジ穴を切る。KURE556DXに援軍を頼み2.5mmのドリル穴をあけてしこしこ手仕事。

余品の2SA1386-Oを付けてみるがスペースに不安があり没。

F7のケースは余裕があるので、F7基板を外して穴をあけることにした。F7基板はファストン端子でコネクトされているので外すのは簡単である。
パワトラ用の穴は既存の穴を利用することにして基板用のタップだけ切った。

まあこんな感じでいいかな。

Kicadを使ってみる

基板設計ソフトKicadを使ってみた。Kicadの使い方はWeb上で多く見つかる。spiceman氏の記事は特に参考になった。
早速F7でやってみた。とても簡単。
まずはKicadの配下にある回路図作成ソフトEeschemaで回路を描く

回路図をチェックして問題が無ければNetlistを生成
次に同じくKicad配下の基板作成ソフトPcbnewにNetlistを読み込み、適当に部品配置したあとfreeroutingという自動配線ソフトを起動する。そうすると部品が配線された基板図ができる。これを元に修正を加えるとPCB基板図は完成。

Pcbnewでは3Dビューがあるので、出来あがりの雰囲気もわかる。


あとはガーバーデータを作って基板屋さんに発注すれば終わり。

Amp Camp Amp

ネルソン・パスはPassLab社では超弩級アンプを、FIRSTWATTではシンプルな小出力アンプを設計販売している。
後者のFIRSTWATTのアンプは回路も公開し、diyaudio.comでネルソン・パス自ら自作派向けに質問に答えたりしているのだが、アンプ製作の全くの初心者にはそれでもハードルが高いようで、だれでも容易に作れるアンプも発表している。それがAmp Camp Amp(略称ACA)である。

Amp Camp Ampdiyaudiostore.com

Amp Camp Ampの名前の由来は下記の通り

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What Exactly is an Amp Camp Amp Anyway?

The Amp Camp Amp was created by Nelson Pass for a special event called "Amp Camp" in which 20 people built their very first amplifier from start to finish in one afternoon. The event was held outdoors on a lovely sunny day in California and all attendees walked away with a fully functioning amplifier and a smile on their dials.

Naturally, other people wanted share that same amazing experience of successfully building their first amplifier so diyAudio has created the three essential ingredients you need for that same journey - the parts, the instructions, and the community.

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ということで、ACAはかなり多くの人が作っているようで、diyaudio.comのACAスレッドは、本日現在9523の書き込みがありwebのページ数は953ページにも及んでいる。
専用のシャーシと簡単な回路と小型基板、電源にAC-DCアダプターを使うことなどで製作は容易。

2年以上前にキットは入手しており、F6を先に作ってしまったので放ったらかしにしていたが、寝室用にそろそろ作ろうかとも考えている。
入手しているキットはV1.6だが、現在はV1.8のようだ。