僕の学生時代はJAZZ喫茶全盛時代で、京都市内だけでも30軒以上はあったと思う。北白川には「ふんじゃらーむ」というJAZZ喫茶があった。御陰通に面した普通の喫茶「エルム」の奥にあってオーナーは同じ。ふんじゃらーむにはほぼ毎晩のように通っていたがエルムには入ったことも無い。エレボイのcenturylVというスピーカーを球のアンプとGarrardの401にオルトフォンのアームで鳴らしていた。針は多分SHUREのV-15lllだったのだろう。
ある日、ちょうど店に居るときにアンプが壊れた。オーナーは僕に治せないかと尋ねた。僕が工学部であることを知っていたからだが勿論それは無理に決まってる。ガラスの向こうのレコード室にある球アンプをこのとき初めてまじまじ見た。今から思えば211か845のプッシュプルだったと思う。これが僕にとって最初の真空管アンプとの出会いとなる。
そしてまた、僕のJAZZの知識の大半はふんじゃらーむで得たものだ。Eric DorphyのAt The FIVE SPOT CAFE は何度もリクエストしたのを憶えている。
かなりの音量と客(といってもほとんど学生)の話し声の中、カウンターの中にいる通称「蛙さん」というメガネの兄ちゃんに客がオーダーを伝えるには親指を立てた握りこぶしを下向きにする。そうすればホットコーヒーが運ばれてくる。いやいや上向きだったかな?
そのふんじゃらーむも今はもうない。京都のほとんどのJAZZ喫茶が店を閉じてしまった。
そんなわけで悲しいから長い間京都へは行ってない。
中段左、下段左がふんじゃらーむのマッチ。当時は沢山持っていたのだがどこかへ消えてしまった。この画像は吉田泰夫さんのHPから拝借