先週末、買い物で日本橋のテクニカルサンヨーに寄ると、山口のおばちゃんが「京都で試聴会があるよ」と教えてくれた。金田式アンプで最近注目されているSIC半導体を製造しているROHM(ローム)社主催で、京大の桂キャンパスであるとのこと。オフミ仲間にメールで連絡した結果、MHIさん、マスターキャットさん、tatebaさんも行くとのこと。桂キャンパスは僕の学生時代には無かったので、一度見てみたいとも思い、予定はあったのだが都合をつけて行くことにした。
tatebaさんは風邪のようで結局欠席となり、3人で阪急桂駅で集合し、タクシーで桂キャンパスのローム記念館へと向かう。
桂キャンパスは近代的な集合住宅が立ち並んでいるかのようで広大であった。吉田山〜百万遍とは全く違った雰囲気で、建物群を「クラスター」と呼ぶようである。やれやれ。
試聴会会場のローム記念館は、エントランスの吹き抜けの周囲が回廊となって上下をつなぐ構造。もちろんエスカレータも上の写真のようなスケルトンなエレベータもある。エレベータ内に液体窒素運搬時は同乗は禁止と表示があるのは大学らしい。
ローム記念館3階にある階段教室が試聴会場で、受付を済ますと5番目だった。事前登録制だったので、登録者は何人か聞くと、100名位との答え。僕が50名、MHIさんが150名と予想していたので、その中間である(笑)
開場12:30ということでロビーで座っていると、テクサンのおばちゃんがいつもと違う雰囲気で現れた。声をかけて暫し談笑。そのうち「もう入れるんとちがうか?」と、流石に大阪のおばちゃんである。で、入れた。
「金田式試聴会は爆音である」の法則から、前から10列目ほどの中央に我々は陣取る。定員300名の階段教室で100名強の参加者であるから、ゆったりとしている。席を確保して、セッティング中の機材を撮影。
- 事前情報では小型SPということであったが、大型A7タイプのSPも用意されていた。京都のタイムマシンレコード五島さんのものだと思う。
- 本日のアンプ群。パワーアンプ沢山。チャンネルフィルターとかいろいろ
- セッティング中に突然音が切れ、原因究明にあたる金田さんとお手伝いの方々
- 大型3WAYのツイーターは音研5000T、手前の小型SPはレイオーディオ製KM-1V。ユニットは13cmコーンx2と1.5インチソフトドームツイーター。
- 良く見えないが3WAYのドライバーは多分音研455
- 金田さんのソース機材の写真を撮り忘れたので、MHIさん(horestaさん)の画像を借用。
まず、ローム社の取締役の方から挨拶があって、いよいよ開始である。
金田さんから今日の流れは、
- SICパワーアンプドライブで大型SP
- 小型SP
- SIC-FETアンプと2SD218アンプとの比較
という簡単な説明がある。簡単杉。
大型SPでクラシック中心に何曲か聴く。「金田式試聴会は爆音である」の法則は、今日は採用されていないようであった。ただし、保護回路のためかそれ以外の理由かわからないが、セッティング中から何度もアンプが気絶したのか、音が出なくなることがあったので、意図して音量を控えめにしたのかもしれない。
音は解像度の高いもので、全域にパワー感があると同時に、低音域がボケず、低音部の動きが明瞭。
オンケンシステムは90年代に使用していたが、当時のバッテリーアンプシステムでは、これほどのパワー感はひっくり返っても出ない。回路・素子ともに圧倒的に進化したことを感じる。
小型SPのレイオーディオKM-1Vには吃驚した。堂々たるスケールである。KM-1VのツイーターはおそらくフランスのAudax社TW-34だと思うが、以前所有していたウエストレイクBBSM10にも使われていて、かなり低いところから使用できる良いドームである。ロジャースの大型BBCモニターにも使われていたと記憶してる。あと米国のオルガンメーカーも使用していた。
- 本番中に音が出なくなって修理?中
途中で、MJ誌の前編集長で現編集委員の桂川さんによってポップスがかけられた。SDカードに入れたソースを使用。アンプはハイブリッドアンプに変更。
山下達郎、竹内まりあ、美空ひばり、小椋佳、ビートルズの各1曲
桂川さんには悪いが選曲が良くない。達郎も竹内も、ちゃんとしたハイファイ装置で聴くものではない。音楽としては素晴らしいと思うし、どちらのアルバムもほぼすべて持っているが、試聴会で聴かせるなら録音としても良い曲、たとえばEPOの「WORKS」や「AQUA NOME」所収の曲とかいくらでもある。
一方で、小椋佳の「木戸をあけて -家出をする少年がその母親に捧げる歌- 」は多賀英典プロデュース「彷徨」収録であるが録音もちゃんとしているアルバムで、とても良かった。
- ぼくも持っているSDTrans384。桂川さんはSDカードに入れたソースを使用。
- 上から2台目はサイドに2SD218が見える。
- 左2台:上段SIC、下段2SD218
- 中央4台:上からSIC/2SD218/チャンネルフィルター/プリアンプ
- 右2台:上段SIC、下段2SD218
- 直近発表のオールインワンアンプ。AC電源。KM-1Vに使用。
- 背後にはバッテリーが沢山。
- 手前の2台はハイブリッドアンプ
SIC-FETアンプとバイポーラ(2SD218)アンプの比較は、ふたたび大型3WAYシステムを用いて行われた。
SIC → 2SD218 → SIC という順番でオーケストラを聴いた。
最初のSIC → 2SD218の変更では、2SD218も良いな。と思ったが、
2SD218 → SICと再び切り替えると、2SD218が極端に言えば箱庭的であると明確に気付いた。SICは雄大で滑らかである。ロームさん、良い素子を作りましたね(^-^)v
その後、タイムマシンレコード五島さん録音のJAZZを聴く。マイクアンプを使わないウッドベースのピアノトリオだが、本日で最もよかった。五島さん、早く売ってください!
ということで本日の試聴会についての報告を終わるが、今日の試聴会を採点すると100点満点で50点位である。
音の良し悪しは個人の感覚でも違うから採点対象とはしない。
減点部分は、
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- 機材に関する説明がほとんどないこと。試聴会の趣旨が趣旨だから、ほとんどいきなり曲をかけるよりは、本日の機材(アンプ、SDカードリーダー、SPの構成etc)の説明を最初に時間をかけてするべきだった。
- また、現在、どういう組み合わせで鳴らしているのか、ホワイトボードでも何でもよいので、表示する方が良い。説明は少しはしているが、早口で聞き取れない。
- 頻繁に音が途切れる状態は、この場を用意されたロームに申し訳ないと思った。これが民間のパブリシティー催事で起きたら切腹ものである。学者だから許されるものではない。猛省が必要。
- 10分休憩が5分と変更になったり結局もっと短くて再開されたりする時間コントロールの問題。
- 全般的に選曲に問題がある。めったにない機会なので、録音的にも優秀なものを揃えて頂きたかった。
良い点
ローム社のサポート。会場が良いし、送迎バスは用意されているし、飲料が用意されているし、緊急用に医療スタッフも準備していた。感謝感謝である。
<追記>
行きの阪急電車でMHIさんとオーディエンスの平均年齢について、MHIさんはわりと低めで55歳位?で、ぼくは65歳位?と馬鹿話していたのだが、どうみても65歳だった。我々はまだまだ「若手」なのだ(笑)
ヘッドフォンアンプなどは明らかに若い人が多く製作しているので、MJもそろそろ真剣に紙面の作り方を考えた方が良い。今月号の実態配線図はとても良い試みだが、もっとライトなものが必要かも。