TU-8300 (1)

このクソ暑い時期に真空管はどうかとも思うが、エレキットの真空管アンプTU-8300を作った。

TU-8300は300Bを使用したシングルアンプだが、8ピンオクタルソケットが別に用意されており、KT88、6550、KT66、EL34、6L6などの5極管やビーム管の三結も楽しめるというもの。
また、キット付属のもの(市川製?)以外のアウトプットトランスを使用することが可能なシャーシ構造になっており、SGタップのあるアウトプットトランスを用意すれば、三結以外にウルトラリニア(UL)接続も可能である。更に、変換ソケットを用意すれば6AR6や6384などのピン違いの出力管も使用が可能だ。
メーカーが「実験機のような"TU-LAB"」と称しているように、手持ちの様々な出力管を聴くのに絶好のベースとなるアンプだ。ただ、残念なことに既に生産は終了している。

製作するに当たって、キットオリジナルから以下を変更した。

  • 出力トランス:手持ちのタンゴXE-20S

  • VOLUME:ALPSのRK27

  • 抵抗:アンプ基板はススムプレート抵抗、電源基板はKOAの金皮1/2W。なお、銅箔オイルコンのサイズから、アンプ基板のオイルコン取付部周辺の抵抗は、指定面の反対側(SIDE-B)側に付けている
  • カップリングコンデンサ:JENSEN銅箔オイルコンデンサ。基板の穴にこだわらず、ソケットピン間配線を基本とする。

  • キット付属の入力部のRCAジャック基板は片持式取付で頼りなく振動に弱い構造のため、基板は使用せず、何時ものようにシャーシへRCAジャック取り付けた。入力部分が振動することはタブーである。またこれに伴いRCAジャック基板からアンプ基板へ渡る基板も使用しない。

  • マニュアルでは出力トランスからスピーカー端子への配線はスピーカー端子基板のランドへハンダ付けとなっているが、スピーカー端子へ直接ハンダ付けした。尚、SP端子への配線はダイエイ電線の30芯を使用。

  • ウルトラリニア接続と三結の切替が出来るようにスイッチを設ける。SW用の穴はトランス取付調整用のシャーシ穴を利用。ダイエイ電線の20芯で配線。

  • このアンプは双極管12AT7(ECC81)の2素子を初段、ドライバー段に使っており、この部分は音に大きく影響する。付属の中国製は使わず、SIEMENSの高信頼管E81CCを使用。E81CCはミュンヘン工場製のトリプルマイカで、10年ほど前にエッグボックス100本入りのものを入手していた。出力管は中国製も良くなっているが、電圧増幅管は中国製は使わないことにしている。電圧増幅管に関しては、中国よりはロシア、ロシアよりはNOSだ。

  • 出力管の定電流回路の1Kの半固定抵抗を2Kに変更。このアンプは8.5Vを半固定抵抗1Kと固定抵抗2Kで分圧して制御トランジスタ2SD2012のベース電圧を決定することによって自動的に2SD2012のエミッタ電圧は決まり、エミッタ抵抗は100Ωであるためエミッタ電圧/100Ω=カソード電流となる回路である。キット指定の1Kの半固定抵抗では電流の範囲は51mA〜79mAであるが、2Kの半固定抵抗に置き換えることによって37mA〜79mAまで調整範囲を広げた。